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らせん階段の雑学

前回の記事で紹介した Groot-Bijgaarden 城には、堀の内側に居館とは別に高さ30メートルの塔がある。

Kasteel Groot-Bijgaarden 3

居館の内部は残念ながら公開されていなかったが、こちらの塔には自由に上ることができ、屋上からの眺望が楽しめる。ただ、塔に上る階段は、こちらの狭くて急ならせん階段ひとつだけなので、途中で上る人と降りる人が出くわすと、すれ違うのが一苦労である。

Kasteel Groot-Bijgaarden 4

それもそのはずで、この塔は本来、敵に攻め込まれたときに城主が立てこもって戦う「最後の砦」。階段も、防御に有利な構造になっている。一度に大勢の敵が上ってこられないように、階段を狭くするのは当然の工夫だ。
そして実はもうひとつ、このらせんの向きも防御上の理由で決められているのである。

上の写真を見て分かるように、この階段は右回りに上へ向かっている。一段ごとの足場は壁側の方が広いから、階段を上る者は右に寄って進むことになり、下る者は左寄りになる。

つまり、塔に攻め上がろうとする敵は(多くの場合、利き腕である)右腕が壁側になるため剣を振るいにくい、ということだ。もちろん壁から離れて体を中心方向に持ってくれば、剣を振り回すスペースはできるだろうが、今度は足場が悪くなる。
しかし塔の上にいて守る側は逆である。壁側の足場の良い場所に立てば、右側に剣を振るうだけのスペースが確保できる。

spiral.jpg

敵はずらりと列を作って、次から次へと昇ってくるにせよ、狭い階段で一度に対峙するのはひとりだけ。ならば足場が良く、右腕を振るいやすい防御側が圧倒的に有利ということになる。

そんなわけで、戦闘用の砦となりうる古城の塔のらせん階段は、たいてい右回りに上るようになっているそうだ。稀に逆向きになっているのは、当時の城主が左利きだった証拠…なんだそうな(これはちょっとマユツバっぽい気がするけど)。

ちなみに、我が家の近所にある教会の鐘楼に上ったときは、そこのらせん階段は間違いなく逆向きになっていた。さすがに聖職者は、チャンバラの都合を考える必要がなかったのだろう。要するに、階段のらせんの向きを見れば、その塔が戦闘用だったかどうかが分かる…ということですな。

さて、最後に蛇足ながら、Groot-Bijgaarden 城の塔の内部を写真でご覧いただこう。

Kasteel Groot-Bijgaarden 6

天井はかなり高く、大きな暖炉が切られていて、窓からの自然光も入る。意外と居心地は悪くなさそうだ。戦時には城主の家族も居館から塔の上階に移り住んだのだろうから、ある程度の居住性は考えられているようだ。

Kasteel Groot-Bijgaarden 5

中世の城にはよくあるように、ここも窓の手前がベンチになっている。
ラプンツェルが窓から長いおさげ髪を垂らすときは、きっとこういうベンチに座っていたんだろうな…
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4 Comments

例のらせん階段! says..."お昼休みに聞いた通り"
お話に聞いた通り、狭いらせん階段ですね。
お写真を見て、納得しました。しかも戦闘に有利なように計らいが!
興味深く、面白かったです。
花々のお写真もとっても綺麗で、私も行った気になれました。
ありがとうございます😊



2017.05.07 09:39 | URL | #tHX44QXM [edit]
AngieBXL says..."Re: お昼休みに聞いた通り"
こんにちは~! ご覧いただき、ありがとうございます ^^ 
気が向いたときにボチボチ書くだけなので、なかなか新しい記事が増えませんが、よかったら時々のぞいてやって下さいませ。
2017.05.08 06:50 | URL | #- [edit]
ちはこ says..."お久しぶりです!"
あずささん、お久しぶりです!
らせん階段のお話、すごく興味深かったです。
読んでて「あぁ、なるほど」と何度も頷いていました。
美しいと思っても城は城。やはり要塞としての機能は抜群ですね(^^♪

2017.05.21 11:22 | URL | #- [edit]
AngieBXL says..."Re: お久しぶりです!"
おーや、ホントにお久しぶり!
このブログ、覚えててくれたのねv-238

まあ知っていたところで実生活には何の役にも立たんトリビアだけど、面白いと思ってもらえたなら本望ですわ。しかし、このらせん階段の話といい、前に書いた乾杯の話といい、中世の貴族とか領主って、けっこう物騒なこと考えて生きてたのねー…と、書いてて思ったよ。
2017.05.21 21:10 | URL | #- [edit]

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