人もすなるブログといふものを我もしてみむとてするなり

0

バリツ教本

先日、ちょっと英語書籍専門の本屋をのぞいてみたら、こんな本が売られていた。



19世紀の紳士方向けに編み出された自己防衛のためのテクニック本なのだが、シャーロック・ホームズの名を冠しているだけでなく、ご丁寧にも「モリアーティ教授に対して使用された」なんて謳い文句までくっついているもんだから、洒落た冗談かと思ってつい買ってきてしまった。

でもちゃんと中身を読んでみたら、内容はけっこうマジメというか、19世紀に実際にあった Bartitsu と称する護身術の教科書を復元したものだった。この護身術、エドワード・ウィリアム・バートン=ライトという人が、日本の柔道をベースにヨーロッパ流の棒術やボクシングをミックスして作り出したんだそうで、一時はロンドンでそれなりに流行したらしい。しかしその後、Bartitsu は商業的に失敗し、継承者もないまま忘れ去られていったそうだ。
そういう一過性の護身術の教科書が今さら復刻されたって、だれも見向きはしない…はずなのだが、かの名探偵と関連付けられると話は別で、うっかり買ってしまうバカが出る(私もそのひとりだ)。

シャーロック・ホームズはロンドンに生還した際、モリアーティ教授との格闘で生き残ることができた理由について、「バリツ(Baritsu)の心得があったので…」と語っているのだが、この謎の格闘技・Baritsu の正体について、実は Bartitsu の誤記(あるいは意図的な改名)だという説がある。つまりこの本は、その説をベースとして作られているわけだ。しかし、ホームズ・シリーズとの関連はその一点だけで、内容的にはまったく無関係なんである。こりゃ一杯くわされちゃったかな…という気がしなくもない

それでも「迷惑な人物を部屋の外に放り出す方法」とか「急に後ろから組み付かれた場合の対処」とか、いちいち写真つきで技のかけ方が解説されているのが、けっこう笑える。特に「ステッキまたは傘を使った護身術」のあたりにくると、どっちが襲われてんだか分からないような写真が多くなって、解説を読む前に「どっちが悪者か」を予想して当たりハズレを競うなんて楽しみ方もできてしまう(笑)から、まあ良しとしよう。
ともかく、21世紀にもなってこういう本が出版されるところに、ホームズ・シリーズの古典としての底力を感じる。いろんなパロディやパスティーシュが出たり、現代版にアレンジされたドラマが登場したりしているが、やはり原点の魅力は侵しがたいものがある。
つくづく、アーサー卿は偉大であるよなぁ…。
関連記事
スポンサーサイト
該当の記事は見つかりませんでした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://angiebxl.blog.fc2.com/tb.php/290-4faeae8e